黄金の巻 第044帖

黄金の巻 第四十四帖

奉る歌書かして置いたに何故読まんのぢゃ。大き声で読み上げよ。歌うたひ呉れと申してある時来てゐるぞ。歌でイワトひらけるぞ。皆 歌へ唄へ。各も各も心の歌つくって奉れよ。歌結構ぞ。


 ひふみゆら、ひふみゆらゆら、ひふみゆらゆら。
 かけまくも、かしこけれども、歌たてまつる。
 御まへに、歌たてまつる、弥栄(ヤサカ)み歌を。
 世を救ふ、大みゐわざぞ、みことかしこし。
 まさに今、神のみことを、このみみに聞く。
 三千世界、救ふみわざぞ、言(コト)ただし行かな。
 大神の、しきます島の、八十島(ヤソシマ)やさか。
 天かけり、地(クニ)かける神も、みひかりに伏す。
 堪へに堪へし、三千年の、イワトひらけぬ。
 したたみも、いはひもとほり、神に仕へむ。
 大稜威(オオミイヅ)、あぎとふ魚も、ひれ伏し集ふ。
 かむながら、みことの朝を、みたみすこやかに。
 神の子ぞ、みたみぞ今の、この幸になく。
 国原は、大波うちて、みふみを拝す。
 天もなく、地もなく今を、みことに生きん。
 大みつげ、八百万神も、勇みたつべし。
 天地の、光となりて、みふで湧き出づ。
 一つ血の、みたみの血今、湧きて止まらず。
 大みこと、身によみがえる、遠つ祖神(オヤ)の血。
 すでに吾れ、あるなし神の、辺にこそ生きん。
 高鳴るは、吾か祖の血か、みつげ尊し。
 吾れあらじ、神々にして、祈らせ給ふ。
 天地も、極まり泣かん、この時にして。
 かつてなき、大みつげなり、たたで止むべき。
 天地も、極まりここに、御代生れ来ん。
 大き日の、陽にとけ呼ばん、くにひらく道。
 みことのり、今ぞ輝き、イワトひらけん。
 宮柱、太しき建てて、神のまにまに。
 抱き参らせ、大御心に、今ぞこたへむ。
 言いむけ、まつろはしめし、みことかしこし。
 ただ涙、せきあへず吾(ア)は、御(オン)まへに伏す。
 ささげたる、生命ぞ今を、神と生れます。
 大まへに、伏すもかしこし、祈る術(スベ)なし。
 今はただ、いのちの限り、太道(オミチ)伝へむを。
 祈りつつ、限りつくさん、みたみなり吾れ。
 いのち越え、大きいのちに、生きさせ給へ。
 ひたすらに、みことかしこみ、今日に生き来し。
 言霊の、言高らかに、太陽(オオヒ)にとけな。
 天に叫び、吾れにむちうち、今日に生き来し。
 あらしとなり、あまかけりなば、この心癒えむか。
 走りつつ、今海出づる、大き月に呼ぶ。
 みみかくし、生命と生れて、遠つ祖神(オヤ)さか。
 神々の、智は弥栄え、此処に吾れたつ。
 みたみ皆、死すてふことの、ありてあるべき。
 あな爽け、みたみ栄(ハエ)あり、神ともに行く。
 さあれ吾の、生命尊し、吾(ア)を拝(オロガ)みぬ。
 みづくとも、苔むすとても、生きて仕へん。
 いゆくべし、曲(マガ)の曲こと、断たで止むべき。
 かへりごと、高ら白さんと、今日も死を行く。
 追ひ追ひて、山の尾ことに、まつろはさんぞ。
 追ひはらひ、川の瀬ことに、曲なごめなん。
 みことなれば、天(アメ)の壁立つ、極み行かなん。
 と心の、雄たけび天も、高く鳴るべし。
 まさ言を、まさ言として、知らしめ給へ。
 たな肱(ヒヂ)に、水泡(ミナワ)かきたり、御稲(ミトシ)そだてんを。
 むか股に、ひぢかきよせて、たなつつくらむ。
 狭田長田、ところせきまで、実のらせ給へ。
 神々の、血潮とならん、ことに生き行く。
 言さやぐ、民ことむけて、神にささげん。
 にぎてかけ、共に歌はば、イワトひらけん。
 大き日に、真向ひ呼ばん、神の御名を。
 道端の、花の白きに、祈る人あり。
 拍手(カシワデ)の、ひびきて中今(イマ)の、大きよろこび。
 悔ゆるなく、御まへに伏し、祝詞(ノリト)申すも。
 祝詞せば、誰か和し居り、波の寄す如。
 のりと申す、わが魂に、呼ぶ何かあり。
 御まへに、額(ヌカ)づきあれば、波の音きこゆ。
 悔ゆるなき、一日(ヒトヒ)ありけり、夕月に歩す。
 曇りなく、今を祝詞す、幸はへたまへ。
 奉る、歌きこし召せ、幸はへ給へ。
 ひふみよい、むなやここたり、ももちよろづう。
かのととりの日。

【まつろはしめし】:順は+示しの形。まつらうようになるフデの意としました。